1年余りの歳月をかけて完成!その物語をお伝えします。
こんにちは、代表の石橋です。ここにようやく誕生したハンカチドール。しかしまた難題が、、、最大の難関、ギフトボックス。産みの苦しみはまだ続きます。
貼箱屋さんの男気
ハンカチを数えるときに1枚、2枚と数えていたのが、人形になってしまったものだから1体、2体と数えるようになり、妙な感覚とともにハンカチドールの製作はスタートしました。
ハンカチドールの商品コンセプトが決まったことで、商品企画はスムーズに進んで行きました。このあたりは女性スタッフに主導権を渡して自由に進めてもらい「エレガントプリンセス」「クールシンデレラ」「キュートフェアリー」「ナチュラルガール」といったネーミングやキャラ設定、デザインテイスト、配色、レース、フリルなど、今までの苦渋に満ちたミーティングとは変わり、テンポよくポンポンと決まって行きました。
弊社は繊維製品のメーカーですので、ハンカチ製品を作ることは慣れております。この色で生地を染めて、このレースを組み合わせるこんな感じに仕上がるんだろうなぁと大方の想像はつきます。生産管理も、織物工場、染色工場、縫製工場などの協力工場とはしっかりと連携が取れており、納期スケジュールはあたりを付けながら計画通り進めることが出来、融通も利かせてもらえます。
ハンカチの生産については全く問題がないのですが、ここで困った問題が持ち上がりました。それはギフトボックスです。
ギフトボックスの製作は私が30年近くお付き合いのある桐生市内の製箱屋さんに相談を持ちかけておりました。
当初、ハンカチを4つ折りにきれいに畳んで収めるオルゴール式のギフトボックスでお話をしておりましたが、ハンカチドールになったことでドールを自立して収める形状に変更となったため、貼箱が主たる製箱屋さんにはこのノウハウがないのです。
この製箱屋さんは桐生の織物産業とともに地元に根付いて箱を製作されている会社さんです。桐生の和装業全盛の頃、袋帯を入れる貼箱を作っておりました。その後、軽装帯や浴衣帯を収める貼箱へと変わり、和装の衰退とともにお菓子や小物を収める貼箱の製造と幅広く展開し、群馬では4社しかない貼箱屋さんの一つです。
このプロジェクトにはぜひこの製箱屋さんに関わって頂きたく色々と相談を持ちかけておりました。このドールを自立させる箱を作りたいと私が無茶なお願いを切り出したときも、断ることなく、嫌な顔も一切見せず、むしろ自分ごとのように親身になって一緒に考えてくれました。このときの製箱屋さんの協力がなければ、ハンカチドールは誕生しませんでした。社長さんの男気には本当に感謝しております。
はじめての経験に奮闘
最初は私からイラストなどでイメージをお伝えしてたたき台をつくってもらう感じで進めて参りましたが、製箱屋さんもはじめての経験で試行錯誤が続き、なかなか思うように進みません。
イラストでどうこうよりもダミーのギフトボックスを私が手作りで実際に作ったほうが伝わると思い、厚紙をカッターナイフで切ってセロテープで止めてサンプルを作ることにしました。
いい人形のギフトボックスのアイデアがないか、おもちゃ屋さんに行って人形のパッケージを参考にしながらイメージ固めを行い、そのイメージをもとにイラストレーターで設計図を描いてみるのですが、立体のものの設計ってこんなに難しいものかということを知りました。複雑になればなるほど、頭がこんがらがってしまいます。また、厚紙もギフトボックスとして使えるしっかりとした紙となると案外少なく、ホームセンターを何軒も廻った末、板目表紙という書類を綴ったりするのに使う厚紙が使えるということにたどり着くまで、時間を費やしました。
設計図を描いて、厚紙に落として、カッターナイフで切ってというイメージを形にする作業ですが、普段の時間では出来ないので、夜仕事が終わってからや土曜日、日曜日の時間を使ってひたすら行うこととなりました。
ハンカチをドレスのように巻きつけるトルソー(洋服を着せる胴体部分だけのマネキンのようなもの)とギフトボックス全体のバランス、ドライフラワーを入れた際にしっくり来る奥行き、上からの灯り取り、宅配便の運賃サイズ、色々なことを考慮しながら様々なタイプの大きさを幾つも作りました。トルソーの高さを1センチ変えるだけで全体のバランスが大きく変わってしまうため、最初のたたき台のたたき台を作るのに慣れない作業に手こずり、何度も心が折れそうになりましたが、折れたのはボロボロになったカッターナイフの刃でした。
セロテープがペタペタと貼られた手作りのたたき台のたたき台となるギフトボックスを持って、製箱屋さんに確認してもらい今度は製箱屋さんがもう少し本番に近い形の見本を作るといったやり取りですが、ギフトボックスの製作に全く知識のない素人の私が作ったものですので、あとから色々と問題が出てきます。
灯り取りの穴の大きさが大きすぎて上部を抑え込むベロに干渉してしまうとか、トルソーを立たせる土台が甘くハンカチドールが傾いてしまうとか、ハンカチドールがドライフラワーのブーケを持っているように見せるためにドライフラワーをどう固定するかとか、この仕様だと作業効率が悪くなってしまうとか、この紙の折り方だと強度が出来なとか、この場では語りきれないほどたくさんの問題があり、一つ一つをクリアにしなければなりません。しかも、ローズプードルは環境に配慮したモノづくりを掲げておりますので、ビニールやプラスチック系の資材を使うことは避けなければなりません。いかに紙工作で問題を解決することが出来るかといった挑戦になります。
製箱屋さんで色々な課題を浮き彫りにした後、オフィスに戻ってひたすら厚紙とカッターナイフで試行錯誤。8月のお盆前、真夏の夜、一人オフィスでの奮闘が続きます。
次回は、ハンカチドール開発秘話⑦「配送テストで失敗⁉」
ギフトボックスの開発にさらなる困難。やっとの思いで出来上がったファーストサンプル、そして配送テスト。結果は、、、そんなお話になります。それではまた!